表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

2

広大な大陸を背に、広い海へと伸びる半島の先に在る漁村、カサディス。
私は物心付いた頃からそこで育ち、そして……。
ある日突然現れた赤い竜の襲来に恐れを抱きながらも、必死に立ち向かった。

けれども、ただ平和に暮らしてきた、私などの力は全く及ぶ筈も無く。

竜に心臓を奪われ、"覚者"となった。

漁村での女の身に出来る仕事と云えば、魚の加工や調理、竿や網の手入れくらい。
戦いに赴く戦士が使うような鋭利な剣など、勿論触ったこともない。
けれどあの日、竜に立ち向かった私は…。
その時、不遇にも都からの遣いで来ていた兵士が騒動の中で落とした剣を無我夢中で拾い、必死に竜の腕に押し突き立てた。

特に竜に勝てるような自信など、毛頭なかった。
私を動かしたのは、危機に瀕した村の人々をなんとか救いたいという思い。そして……竜の姿を此の目で捉えた瞬間、何故か突然血が沸き立つような衝動に突き動かされた。
それは決して、非力な漁村の女が立ち向かっていい相手ではなかった。

赤い竜が村を襲った後の惨状はかなり酷かった。
私も竜に心臓を抉り獲られた事で、それに伴う出血とーー何よりもショックのあまり気を失った。

その後、辛うじて無事だった村人が手分けして怪我人の救護にあたった。
私も幼なじみのキナによって介抱され、元より身よりのない私と彼女の育ての親代わりである村長の家へと運ばれていた。


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