表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

けれども。
私は、黒呪島へは独りで赴いた。彼には何となく言えなかった。
……私の心の弱さゆえに。
ーーあの時……。ううん、今はやめておこう。

どうやら此処は、グランシスとは全く異質の場所らしい。此処ならば、奥底にあるものを静かに見つめ直す時間が在るかも知れない。
そうも思えた私は、オルガさんの依頼に、黙って頷いた。
とにかく、ここまで来たのだから。今は自身の心の指す方へ…進むしかない。

覚者とは、竜の脅威から世界を救う希望。竜に怯える人々の救いとなる存在。でも……。
予期せず竜と相まみえて覚者となった私自身に、この先希望はあるのだろうか。そして…。
私自身、覚者としてこれからも生きていく意味はあるのだろうか…。
そう思ってしまう程突然の流れに呑まれ、ずっと戸惑いは消えなかった。

ーー私は、私自身の心を助けたかった。

さあ、行こうーーー。そう決意して、更に迷宮の門へと歩を進める。
右手を胸に当て、一つ深呼吸する。そうすると、気持ちが落ち着くような気にさせてくれる。
きっと、ひとりでも……。

ーーと、その時だった。
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