表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

「おひとりで何処へ?マスター」
背後からの聞き覚えのある声に、ゆっくりと振り向いた。

此処に居るはずの無い彼が…私の従者であるアツシさんが、そこにいた。どうして…。

「幸い此処には、リムが在ります。気配を追って参りました。私はあなたの……あなたをお守りする役目があるのですから」
彼の表情と口調が少し厳しく感じた。
「…ごめんなさい…」
途端に、緊張とーー申し訳ないと思う気持ちが押し寄せた。
口を開いて直ぐには声が出ない。
「…一緒に…来てくれるの?」
私の幽かな問いに。
「…勿論です」
やはり彼はちゃんと答えてくれる。いつも彼は、私を助けてくれる。
ーー今までずっと、そうだった。

私を足早に追い越して先を歩く彼の、ちらりと見えた横顔は…微笑っているように見えた。
……でもきっと、覚者の欲目だ。

ただ黙って、彼の背中に付いて歩き出す。
ーー今までもずっと、そうしてきていたように。
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