表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

じっくり、耳を澄ませてみる。
……と、少し離れた隣から魔法の詠唱が聞こえてくるのが感じられた。
音を手繰り、そちらを見る。
体格の大きい、威風堂々とした魔術師がそこに居た。
どうやら加勢してくれているらしい。
真っ直ぐハイドラを見据え、見る見る間に詠唱を紡ぐ。
彼の構えた杖と手の間に、炎の力を喚び起す光が宿る。

…これが、魔法…。
食い入るように、その一部始終をじっと見守った。

そして魔術師は声を挙げた。
「援護します、あの首を!」
アツシさんが一瞬振り向き、もう一度剣を構え直した。
ハイドラは突然の炎に退き、4本の鎌首を擡げて威嚇している。
その隙に、魔術師の熾す炎の壁が、今度はその首の羅列に沿うようにそそり立った。

ーーそれは、アツシさんが地を蹴って跳ぶのと同時だった。
爆薬を含んだ首に、今度こそ剣を振り下ろす。
大きな刃は、ハイドラの首に亀裂を生じさせた。
するとそこから、首の中に仕込まれた爆薬が炎が引火し…くぐもった爆発を起こした。

大きな一振りの大蛇の首が勢いよく宙を舞い、衝撃とともに地に落ちた。

20150510-012446.jpg

地面に横たわった首は、まだ生きているかのように一旦威嚇の口を開けーー絶えた。
その様子に気味の悪さを感じ、思わず後ずさった。
残り3本の首を繋げた本体は、いつの間にか消えていた。

辺りが静かにーーそして戦いを終えて無事を取り戻した者たちのざわめきで、平常の賑やかさを取り戻し始めた。

何故、ここにこんな強大な魔物が…。
突然押し寄せた危機に、謎を解く手掛かりは全く無い。

……とにかくただ、皆無事で居られた事を安堵した。

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