表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

「ーー其方、”覚者”だな?」
そこへ新たに、物々しい足音と声が割って入った。
やはり先程一緒に戦っていた女性騎士だった。

鋭い輝きを讃えた瞳は、真っ直ぐに私の姿を捉えていた。
「…はい…」
まだ胸を張ってそうとは言えないにしろ…私は確かに"覚者"だ。

「先の戦い、なかなかに見事」
まずはそう述べると、女性騎士は私に言った。

都に城を構える王はかつて竜と戦った者であると。ーーそしてその王に会い、助力を求めてはどうか、と。

確かに、まだ私には……竜の許へ赴くにも手掛かりも何も無い。
竜と見えた事のあるという、この地の領王に会う事叶うなら……きっと何か助言を貰えるのでは?

まずは今、その方法に縋るしかない。私の考えも肯定の方へ向いていた。
女性騎士の話はこう続いた。先程落としたハイドラの首を、戦果として運び献上しようと云う。そうすれば、幾らかでも戦う力がある事を示せると。
まだ駆け出しの私には、確かに有り難い提案だった。

私はまずはアツシさんの方を仰ぎ見た。
彼が居なければ……きっと私一人ではどうにもならない。
視線を合わせてみると、やはり彼は無言のまま、小さく頷いた。
私はその意志を有り難く受け、女性騎士の提案に安心して肯く事が出来た。

「…よかろう。では準備が出来次第、出立する。後で都への関所で落ち合おう」
そう言い残し、女性騎士ーー改めて、メルセデスと名乗ったーーは、兵士達を纏めに掛かり始めた。

私とアツシさんも一度宿舎へ戻ろうとした、その時。
「よろしいですか」と、横から声が掛かった。

「ーー都へ行かれるようですね」
先程の魔術師だった。
「私も、そちらの彼と同じく、ポーンの民です。よろしければ都までの道中、ご一緒させて頂けないでしょうか?」

思いがけない申し出に、驚いた。

脳裏に、ハイドラとの戦いでの強力な魔法の映像が甦る。
ーー彼が同行してくれれば、魔法の事を少しでも勉強させて貰えるだろうか…?
私は逆に願ってもない好機に、軽く一礼しながら頷いた。

「…是非、よろしくお願いします」
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。