表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

同行して貰う事となった魔術師は、ロベルトさんと名乗った。
「ーー何故あなたがここに?」
今まで黙っていたアツシさんの表情が、不意に変わった。
少々訝しがるように近付く彼に、ロベルトさんはそのままの落ち着き振りで応じた。
「ええ、所用がありましてね。君がこちらの覚者様の従者となったのですね」
その返しに、アツシさんは苦い表情でふいと顔を逸らしてしまう。

ーー初めて動いた彼の表情が、とても新鮮に思えた。

「都までは、少々険しい峠を越えて行かねばなりません。支度が済みましたら、早々に参りましょうか」
ロベルトさんの言葉に、私ははい、と頷いた。
アツシさんはと云うと……またもただ黙って視線を外している。
何かばつが悪そうな彼の元に、了解を求めてそろそろと回り込んだ。
「…あの、いけませんか…?」
「いえ、問題ありません」

一瞬目が合うものの、また逸らされてしまった。
少々早口だったけれど、特に異論は無いようだった。

こうして私達は、改めて新たな旅路へと一歩を踏み出した。
海道の風はさっきまでの喧騒が嘘のように穏やかで、心地よかった。
勿論、不安はまだまだ拭えなかったけれど…。
心強い従者と一路の強力な同行者を得られた事は、大きかった。

これからの旅は、きっと長く厳しい。
私も気を引き締めて行かななければ……。
ーーここからが、本当の旅の始まりだ。

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