表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

扉の先には、想像もしなかった広い空間が開けていた。

古い石造りの遺跡のようなこの場所は、上下に長く、螺旋状の通路が続いている。
その無限とも思える規模の光景に、息を呑んで絶句した。

…領都には、地下にこんな広い空間があるなんて…。
そして、一体ここはどういう場所なんだろう?この不思議な建造物への好奇心から、下へ向かって伸びる通路の先へと自然に歩を進めた。

私と、その後を付いて来てくれるアツシさんの足音だけが響いた。

そう云えば、アツシさんと二人で探索をするのは初めての事だった。
出会った宿営地からここまで、ずっとロベルトさんや領都の兵士達と大勢で旅をして来た訳で…。
二人になると途端に静寂に包まれてしまう。

此処へ来ても相変わらず寡黙な彼の横顔を見ながら、私の頭の中にある疑問が湧いた。
「ーーあの、アツシさん…?」
静かな空気の中、そっと尋ねてみる。
彼は足を止め、はい、と短い返事だけを返して来た。

「あの、ロベルトさんは…」

「ーーーあの方は、私達…ポーンの民の中でも、師として在る方です」
アツシさんがゆっくりと落ち着いた声で語り始めた。
「彼はこのポーンギルドの中にもよく精通している、いわば官職のような立場にあります。私もかつて、彼から色々な知識を学びました」
……それで二人は知り合いなのか、と私は心の中で小さく頷いた。

「ーー私達ポーンは、漂泊の世界から生まれし者。歳を取らなければ、寿命もありません。"人"のようで、"人"ではないのです」
アツシさんの話は続いた。
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