表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

「ーーちっ!」
アツシさんが、剣を構えたまま走ってくるのが見えた。
そして「今助けます!」という掛け声と共に、一気に加速する。
真っ直ぐ、剣を獣人の足へと伸ばし突き刺した。
低くも鋭い雄叫びが上がる。
体勢を崩した獣人は、大きく伸び上がるとたまらず私を放り出した。
そしてそのまま後ずさるとーー通路の狭さが災いし、足を踏み外し階下へと落下していった。
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「…大丈夫ですか?」
生きた心地がせず起き上がれなかった私を…アツシさんがそっと引き起こしてくれた。
「…ありが…とう…」
顔を上げると、私の顔を覗き込む彼の顔がすぐそこにあった。
表情はあまり無くとも深い輝きを湛えた瞳に、吸い込まれそうになる。
ーー瞬間、脈が上がり、反射的に目を逸らして俯いてしまった。

…ただの偶然なのに、どうして…。
掠れた声のお礼の言葉は、ちゃんと届いただろうか。
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