表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

なんとか進むうち、やがて通路は終わりを見せ始めた。
どうやら先に階段があるようだ。

ほっとしたのも束の間、今度は地中から剣を持ったアンデッドの群が現れた。
先を行くアツシさんが交戦を始めると、たまに剣の擦れる金属音が聞こえてくる。
先程とは違い、相手も皆、剣を持っている。
私もなんとか加勢しなければ…!考えを巡らせ、ある攻撃魔法を思い付いた。

群に応戦するには…あの呪文!
私は急いで杖を構えた。
脳裏に、以前見た光景を思い浮かべた。
そう、ロベルトさんが唱えていたあの魔法。初めて目にした、炎の魔法の詠唱の光景を。
疲れた体に気力の消耗が激しくも、余計な力が抜け、頭の中の集中力はかえって研ぎ澄まされた。なんとか糸を手繰るように呪文を詠唱し、勢いよく手を広げた。
燃え盛る炎の壁が眼前にそそり立った。
思ったより強い炎に自ら気圧されながらも、必死に魔法に集中した。
ーーこれが今の私の、精一杯の力だ…!

アンデッドの群は、炎に捲かれて次々と倒れていった。
…何とか、魔法が成功した…。
ほっとした瞬間にどっと肩にのし掛かるような疲れが襲う。
「大丈夫ですか…?」
一瞬ふらりとする私を、アツシさんがそっと支えてくれた。
「…ありがとう…」
またも消え入りそうな声になる。
「やりましたね。けれど、無理は禁物です」
彼の少し困ったような微笑に、再び私の心は暖かく揺れた。
彼の目を見ていられず、私は黙って頷いた。
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