表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

「おはようございます」

翌朝早く、アツシさんと宿の前で合流した。
扉を潜り出ると、軒の柱の側で待っていてくれた。

昨日も一日探索詰めだったからか、今日は少し足にだるさが残っている。
アツシさんが、ゆっくり歩く私に合わせてくれながら、「北へ向かうならこちらからが良いかも知れません」と、職人区の方を指した。
領都の外壁にはもう一つ、北を流れる川に面した裏門があった。
私達はそちらから出発する事に決め、小麦畑の広がる横の畦道を通って裏門へ向かった。

領都の北側を流れる川を渡り、街道を進んで行くと…。
徐々に針葉樹が生い茂るようになり、空気が冷んやりとして感じられてきた。
北にある丘、というのはまだまだ遠いようで。なかなかそれらしきものは見えて来ない。
私の歩みが少し遅いのもあり、進むうちに陽の高さが変わって来る。

ーーまだ旅の始まりだというのに、調子が悪い自分が情けなかった。
アツシさんはそれでも、何も言わずに付いてきてくれていた。

暫く歩くと道は上り坂になり、上がった先に大きな建物が見えた。
ーー砦、だろうか。
近づいてみると思ったより大きく、入り口には警備の領都兵が立っている。
確かに人の気配はあるけれど、目的地は明らかに此処ではない。
きっと此処を越えて、もっと先まで歩かなければならなかった。

まだ先の長そうな行程に、思わず小さく息を吐きながら……ただ砦の前を通り過ぎた。

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