表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

そして今、私に出来る事…。
それは、共に周りの敵と戦い、身を守る事。
私はアツシさんの剣に向かって、聖なる光の魔法をかけた。
気付いたアツシさんがこちらをちらと振り返り、軽く会釈してくれた。
聖なる力を纏った剣は、触れただけでも人骨の魔物の体を砕いていく。ーー少しは戦いが楽になってくれたようだった。
これは不用心な私の行動が招いた先の戦いで、当然の義務。
彼の優しさが有り難く…そしてやっぱり、申し訳なかった。

人骨の魔物がほぼ全て倒れ消えた頃、何もない虚空から靄のような塊が漂い現れた。
姿を留めず伸び縮みするその姿は、まるで何者かが手を伸ばしているように見えた。
「死霊の魔物、ファントム…。戦いの気配に釣られたようです」
アツシさんが眉を顰め、呟いた。
掴み所の無いように見えるそれは、近くを掠め通ると冷やりと空気が揺れる。
そして現れては消え、誘うようにこちらへ手を伸ばしてくる。
とにかく気味が悪かった。
「マスター、よろしいですか」
アツシさんが私の横へ来て問いかけてきた。
はい、と答えると、彼は魔物の姿を見失わないように目で追いながら、言った。
「あの実体の無い魔物には、魔法が良く効きます。…聖なる光の魔法、お願いできますか」
その言葉に私は即座に頷き、杖を手に取った。
「ーー私が引き付けます。その間に」
そう言い残すとアツシさんは魔物に向かって走り、体の前で剣を構えた。
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