表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

領都に帰り着いた頃には、すっかり夜も更けてきていた。
それでも幾らかの店はまだ開いている。領都の人々の生活時間は、カサディスより長いようだ。

元々朝から、前日からの疲れが残っていたのもあって体が重くーー早く宿で休みたかった。
けれども今日の報告も、出来れば済ませてしまいたかった。
まだ待っていてくれているかは分からないけれど、マクシミリアンさんの許へ取り敢えず行ってみる事にした。
駄目なら出直すつもりで、そのままの足で城門前へと訪れてみる。

と、まだ卿は待機しており、私達に気付いて軽く手を挙げた。
「遅くまでご苦労様です。ーー調査の方は、どのような塩梅でしょうか?」
卿はまず私達を労い、そして丁重に調査の進度を訊ねてきた。
私はその問いに、解釈を交えて順を追って答えた。
預かった石片は特に何かを記した文書では無かった事、そして、覚者として竜識者に逢う為の符丁のような物だった事。

ーーその後竜識者から聞いた伝え話は、特に言わなかった。
それでも遅くなった理由などは別に訊かれる事もなく、卿は…。
「ご協力有り難うございました」と恭しく礼をし、城からの報酬ですと金貨の入った袋をくれた。
特に実りはなかった任なので断ろうと思ったものの、それでは困ると握らされてしまいーー少々気は進まなくも受け取っておく事にした。

そして卿は、ほんのり苦い表情で次の任務の話を切り出した。
それは、この半島の南西にあるーー魔物に占拠されてしまった砦の奪還戦への参入を、という話だった。
「此の戦いは敵のーーゴブリン共の数は多勢、とても危険です。貴方に無理にご助力願おうとは思いませんが…」
卿は私の目をじっと見ながら、そう告げた。
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