表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

けれども、砦の奪還はこの領都の守りを固める為の悲願でもあるらしく…。
自分の戦力に自信は無くも、せめて何か出来ればと、私は協力を申し出た。
卿は小さく息を吐き、そうですかとゆっくり頷いた。
そして、ちらと一旦アツシさんの方に視線を移し…更にもう一度私の目を見た。
「ーー差し出がましいようですが。可能であれば、旅の仲間を募られては如何ですか?兎に角危険な戦場です。どうか少しでも身の安全を図れる対策を」
アツシさんが隣で、くっと息を呑むのが分かった。
ーーそして私も。
確かに私の力量では、危険に身を晒しに行くようなものだ。
「きつい事を言うようですみません、ただ私は…」
卿の目が一瞬泳ぎ、僅かに細められる。
「貴方のような方が激戦の予想される戦地に赴かれる事が心配なのです。…やはり行かれますか」

その再度の問いに、私は卿の目を見たままゆっくりと頷き、答えた。
「…はい。出来るだけ、準備に余念のないようにしますから…。お手伝いさせて下さい」
アツシさんの方を伺い見る。私に目を移し、何も言わずにただ頷いてくれた。

ーーもっと、少しでも強くならなければ。…これ以上彼に迷惑をかけないように。
自然と、手に力が入る。
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「ーー承知しました。では明日は一日、どうか準備と休養を。」
卿は少し憂いを含んだ口調でそう告げると、更に続けた。
「…宜しければ、私の方から組合へ使者を出しましょうか」
私が返事するより早く、アツシさんが前へ進み出た。
「ーーギルドへは私から。ご心配頂かずとも結構です」
暫しの間があり…。
卿は、アツシさんの目を見据えたまま。
短く、「そうですか」とだけ答えた。
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