表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

故或る者達にしか見えないと云う、暗い闇に覆われた黒い島。それが「黒呪島」、案内人はそう告げた。
今まで、その存在すら知りもしなかった私は、其の地に初めて足を踏み入れる。

ーー何も聞かずに来てしまった。
でも……此処ならば、全てが解けるかも知れない。そう感じたから。

そして私は一度小さく深呼吸して、自ら桟橋へと降り立つ。…そうして何とか自分を勇気づけながら。
普通の者には此の島を見る事すら出来ないと云う。此処に来れるのは、特別な者達だけなのだとーーー。
それは、覚者と呼ばれる、竜に識られし者。
強大な力で世界を滅ぼすと云う赤い竜と対峙し、その証として自らの生命の源である心臓を奪られし者。そしてーーー。
覚者に付き従いその身を守り戦う、戦徒として生きる者。異界と呼ばれる無限の空間で生まれ、自由に行き来する人のようで人ではない彼らは、ポーンと呼ばれる者。
覚者とポーン、そうして生きる者達でなければ、黒呪島に来ることは出来ない、と。

此の目で見るまでは知らなかったとは云え、暗い闇に包まれ、陽の光など無縁でありそうなおどろおどろしい此の島に、何故私は来ようと思ったのか…。
それでも、例え既に知っていたとしても。
私自身の意思で、きっと此処へ辿り着いていただろう。

一年を通して太陽の光の降り注ぐ故郷・カサディスの…静かな夜に佇む人影に、何故かとても心を引き寄せられてしまった。
自分の中にずっと抱いていた疑問を極とするように。
此の島へと私を誘った案内人ーー彼女の名は、オルガさんと云った。

とても沈痛な面持ち、静かな光を称えた瞳。島の入り江で、彼女は静かに語った。
彼女自身記憶はないものの、どうしても心に留まっている事がある…「助け出して欲しい人が居る」、と。
その言葉に、私はどきりとした。
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