表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

すっかり陽も暮れ、明かりなどない山道は真っ暗になった。
只でさえ曲がりくねり先の見えない道程を、松明の明かりを頼りに慎重に進む。
険しい峠越の最中で繰り広げられる、様々な魔物との戦いの連続にーー皆流石に疲れてきていた。
けれど、このような危険な場所で休んで行く訳にはいかない。
なんとか早く峠を越えたいと、皆休むことなく歩き続けた。

その間少しでもと、ロベルトさんが傷や疲労を癒す魔法を皆に掛けてくれた。
暖かい癒しの光は、夜風に冷えた体の体温が上がり、疲れが癒されるような感覚を起こさせた。
私もその魔法を習おうと試みた。
ーー何故か出来ない。何度やっても出来なかった。
調子よく来ていたところにつまづき、少々落ち込んでしまう私に、ロベルトさんは…。
きっと私には違う適性が優れているのだと言ってくれた。

……そうだ、私は今出来る事に集中しなければ。

途中、落石の危機や盗賊の襲撃にも遭いながら。
私達は歩みを止めることなく、峠のふもとまで降りてきた。

関を閉じていた門を、レバーを引き開いた。
「よし、もう少しだ!」
メルセデスさんの檄が飛ぶ。
辛かった峠の行軍も、もうすぐ終わる…。
私は小さな動きで背筋を伸ばし直し、更に歩を進めた。

この門を抜けるとーーいよいよ未踏の地、領都”グラン・ソレン”だ。
少しの緊張が走った。
一歩一歩、新たな土地を感じようと、暗い夜道を目を凝らして歩いた。

せきをくぐると、街道が拓けていた。

脇道からは、相変わらず魔物など現れた。
けれど勿論、厳しい行軍を乗り越えて来た一団には、全く障害にならなかった。
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