表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

9

「あんた達、覚者さん達なんだってね」
私達が食事を終えようとしていた頃、酒場の店主がこちらの席へ来て声を掛けてきた。
私が戸惑いながらも、はい、と答えると……。
人の良さそうな店主は、アースミスさんだと名乗りーー明るく振る舞いながら色々話してくれた。
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すっかりこの街には、私達の事も知れ渡っている事。
此処では酒場としての営業以外にも、様々な人からの依頼を受けて代行者を求めている事。

ーーそれらの話に私は、さすが大きな街は情報量が違うと驚かされた。
ならば…と。
竜についての文書の事を何か調べられるところはないかと、駄目で元々というつもりでアースミスさんに訊ねてみた。
すると、少しの間うーんと首を捻り…。
よくは分からないがせめてと、情報屋の存在を教えてくれた。
よく街の裏路地の小さな店に出入りしているとも聞き、少し活路が開けた気がした。

先程迄よりだいぶ疲れが癒えた私は、お礼を言って酒場を出た。

「まあ、焦らずゆっくりやりなよ」
屈託ない、暖かい言葉と笑顔に見送られながら。

酒場を出た私達は、早速店主が教えてくれた裏路地の方へ向かってみた。
路地が段々細くなり入り組んで来る中を、時々立ち止まって道の先を確認しながら進む。
ーー進んでも進んでも、同じような建物の壁が立ちはだかる。
元来た方向をちゃんと覚えておかないと、迷って戻れなくなりそうだ。
どんどん進みながらも、たまに後ろを振り返って道を覚えておくように努めた。

この街は本当に大きく広い。改めて実感した。
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