表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

3

危機は去ったかと少しほっとしたその時、近くの茂みが動いた。
「ーー?!」
低い唸り声に新たな身の危険を感じ、そちらを咄嗟に振り向くもーー間に合わない。
白く大きな狼が飛びかかって来ていた。
更には、上空に新たに飛来したハーピー達も居た。
先程のハーピーの声に、魔物が集まってきていたのだ。
……外は魔物が徘徊する環境だというのに、油断していた。

私は何とか必死に、杖の柄で狼の牙を止めた。強い顎の力に、ぐいぐいと喉元へ押される。
ーーヒュン!
眼前に狼の牙が大きく迫ったとき、空気を切り裂く音がして視界から狼が消えた。

「大丈夫ですか?!マスター」
アツシさんだった。
私はふらつきながらも立ち上がり、ありがとう、と短くお礼を言った。
それには答えず目配せだけすると、アツシさんは狼達に向き直って剣を振った。

斬り裂かれて倒れるもの、逃げて行くもの…。狼達は果て、または散り散りになり去った。
けれども、まだ脅威は残っている。ハーピーの群を何とかしなければ…!
改めて気持ちを奮い立たせて体勢を立て直し、杖を構えた。
ハーピー達に向かって炎の壁を立たせ、落下させる。そこをアツシさんの剣が素早く薙いだ。
ハーピーの群は息絶え、今度こそ辺りは静かになった。

「何とか、勝てましたね」
剣を納めながら周囲を見回すアツシさんの言葉に、安堵しながらもーー気構えの甘さを反省した。
外では気を抜くと命取りになる。
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