表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

祠を出る時からそのまま、私達はただ黙って歩いた。
元々、二人で居る時間に殆ど話をした事はないけれどーー今は特に静かに感じた。
ーーただアツシさんの背中を見ていると、色々と聞いてみたい、話したい気持ちが沸いてくる。
けど、なかなか切り出せない。
何か話そうと思いながらつい言葉を呑み込んでしまうのも、いつも通りなのだけれど…。

そのうち陽が落ちてきて、辺りが薄暗く陰り始める。
思った以上に、あの祠に長居していたようだった。

往き掛けに通り過ぎた砦も越え、領都の街の灯りが遠くに見え始めた頃。
すっかり陽は沈んで夜を迎え、辺りは完全に真っ暗になっていた。
「ーーすっかり暗くなりましたね。お気を付け下さい」
アツシさんが、辺りを警戒するように見回しながら言った。
声を掛けられた事で、きっかけを得たような気持ちになりーー疑問を少し口に出してみる。

「アツシさん。聞いても、良いですか…?」
彼は短く、はいと返事をしながら振り返った。
暗い夜道で足を止めるのは危険だとは思うけれど…。
街に帰って報告を終えれば、きっとまた明日まで会えない。
一言だけ聞いてみて、答えが無ければもうそれで良い事にしようと思った。

「ーーさっき、お話にありましたけど…その…」
黙って、真っ直ぐ目を見て聞いてくれている。
普段あまり話さないからか、面と向かうと余計に言葉が詰まる。
…早くしないと…。気持ちばかり焦った。
「…その剣は、本当に…」

彼の眉根が険しく寄った。
「ーーこの剣は…」
言葉と共にゆっくりと、剣を抜く。
ーーひゅっ!と、耳元で風を斬る音がした。
瞬間、私の体は驚きと恐怖で凍り付いた。

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