表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

3

「驚かせてすみません。…お怪我は?」
私は黙って小さく首を振った。
アツシさんの表情から少し、強張りが消えたように見えた。
申し訳ない気持ちと有り難い気持ち、複雑な思いが同居して喉から言葉が出なかった。
「ーー良かったです。……っ!」
またもアツシさんが剣を素早く今度は横へと突き伸ばし、茂みの陰から現れていた人骨の魔物の体を砕いた。
剣をぶんと縦に振って骨片を払い、剣を背中に納める。

ーーまた静かになった。
すみません。ーー先程の件ですが」
アツシさんは再度、私の目を見ながら切り出した。
情けなくも何も言えない私は、ただ彼の視線に囚われたまま次の言葉を待った。
「この剣はマスターを…。あなた様を守る為に存在します」
私はその言葉に、弾かれるように目を見開いた。
「決して傷つける為の物ではありません。…誓って」
全て見透かされていたような気になり、先程までの邪念とも云える考えが申し訳なく恥ずかしくなった。

「我々ポーンは…覚者様の想いを具現化された存在です。そして私は、あなた様に付き従い守ると決めました」
私はおずおずと顔を上げた。
再び目に入ったアツシさんの表情は、とても落ち着いていた。暗くて確かではないけれど、目元が微かに緩んだように見えた。
「この剣のいわれは私も知りません。けれども、私は…」
そこまで言ってはたと口を噤み、進む先を向いた。
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