表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

3

やがて私は、翌朝村長の家のベッドで目を覚ました。

丸一日意識を失っていたようだ…。
そういえば、竜に心臓を捕られたというのに傷は完全に塞がり出血もない。不思議に思っていると、胸のあたりから響くような何者かの声が聞こえた。
「ーー今一度武器を取り、我が元へ……」
姿は見えない。けれど、直感で"竜"だと思った。
私の心臓を抉り奪った、赤い竜…。
あの竜が本当に求めるもの、それが何なのか気になった私はゆっくりと起き上がった。

奪われた心臓を取り戻し、その本意を知るには…やはり戦いは避けられないのだろうか。
私には戦闘知識など全くない、けれど魔法の心得なら少しはかじった事がある。幼なじみのキナと一緒に、簡単な魔道書を村長の部屋の書庫から見つけて読んでいた事がある。
とりあえず私は、部屋の隅に立て掛けてあった木製の杖を手に取った。

部屋を出ようとすると、キナともう一人。
私たちの育ての親でもあるこの家の主、アダロ村長の話し声が聞こえた。
ーー心臓の音がしない。ーー竜による呪いか…。
昔からよく気が付き、他人思いのキナは、いち早く私の身に起きていた異変に気が付いていたようだ。
ーーーこれ以上心配を掛けてはいけない。
そして何より私自身、自分の身に起こった事が気になって仕方がなかった。

…なるべく早く発とう。そう決めて私は村長の家の扉を開けた。
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