表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

漠然とした、でもとても切実な願い。
とにかく頼りになる、そして安心感のある存在が欲しかった。
これからきっと、長く辛い旅を強いられるだろう…。
その中で、少しでも安心できる居場所があれば、そう願わずには居られない。
住み慣れた平和な村を離れ、全く未知の世界に飛び込むにはまだ勇気が足りなかった。全く予期せぬ始まりだったのだから。

私の祈りに反応して、リムが光を放ち始め…ゆっくりと、一人の戦士が姿を現した。
屈強な体つき、背中には大きな剣を背負っている。正に戦徒と云った形をしている。
彼が翳した右手、掌に印があった。それは私の胸の傷と共に、一瞬眩く光った。
「ーーあなたが、覚者様…」
少し低めの、けれど響きの良い声で呟いた。
きっと私は…頼りなく映っているに違いない。
彼の真っ直ぐ深く見透かすような目に、そう思ってしまう。
「ーーあの…、よろしくお願いします…」

暫く黙って、お互い見つめ合っていた私達だけれど…。まずは思い切って声を掛けてみる。
例えどう思われていようと、彼が私の望みを形とした従者なのだろうから。

最後に名前も名乗ってみたつもり、でもきっと小さくて聞こえなかっただろう。
私の従者、と云うには彼は勿体無いのではと思った。
行く宛もちゃんと分からない、本当にただ運命に放り出されただけのような、自信など全くない覚者の私には。

「……アツシと申します。よろしくお願いします……セツナ様」

ーーー驚いた。体に微かな雷が走ったようだった。
…ちゃんと、聞いてくれていた。
やはりこの人に引き合わせて貰ったのは…偶然ではなく縁なんだろうか。そう思ってしまう。
見たところ彼は、きっと歴戦の戦士だ。
明らかにとても頼りになりそうで…とても有り難かった。

…私は、これから一人ではなく…。
心強い味方と成り得るだろう彼と共に、「旅」に出るんだーーー。
そう、きっと長く続くーー竜を求める旅へ。

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