表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

「覚者様は、それを早く。ーー私達はここでゴブリンを食い止めます」
外への扉を開けようと云う時、ルインさんが私に告げた。
確かに、皆で動くよりは効率がいいように思うけれど…。
何となく後ろ髪を引かれるようで、皆の顔を伺い見た。
「ーーご心配は不要です。幾ら来ようと所詮は数だけです」
「私達は大丈夫ですわ。まずはあの扉を」
それぞれ不敵に、そしてやんわりと微笑む二人の表情に、女性ながらの強さを感じた。

ーー私も、二人のように…強くなりたい。守って貰うだけじゃなく、いつか背中を預けてもらえるように…!
自然と目がアツシさんを追っていた。彼の背中に。
そう思うと力が不思議と沸いてくる。
私はイージスさんとルインさんに返事代わりに笑みを返し、門の仕掛けを動かすために駆け出した。
まずは自分に与えられた仕事をこなす為に。
背後で皆が駆ける足音が聞こえた。
ーー絶対、大丈夫。
走りながらそう言い聞かせた。

門扉の仕掛けの穴に、手にした棒を差し込んでみる。
ーーやはり、ぴったりだ。
これで、まずは作戦が一つ成功する。
領都の兵士達が…援軍が来てくれる。
少し救われたような思いに、強張った顔や肩の筋肉が弛むような気がした。
さすがに暫く動かされていないからか、レバーは固い。
両腕に強い力を込めて、一気にレバーを下ろした。
ーーガチャン。
歯切れの良い音。そして、ゆっくりと木や金具が擦れる音。

遂に門が開いた。
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