表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

扉を抜けた先は、暗く冷んやりした洞穴になっていた。
足元にはまるで水路のような水溜まり。
地表から染み出ているのか、どこからか伝い流れて来ているのか…水源にある遺跡なんだという雰囲気を感じさせる。

…と言っても、遺跡という場所の探索は初めてで、まだ先に広がる光景は想像もつかない。
入り口へ入っただけの状況では、ただの洞穴としか思えなかった。
岩山の内部にあるという構造上、中は勿論先が見え辛い程真っ暗だ。
皆それぞれ、手持ちのランタンに火を灯した。
「…さて、行きますか…!」
ルゥさんの掛け声と共に進み始める。

岩盤を掘って造られたと思われる通路は、あまり広くない。
今までと変わらず、ルゥさんとハゥルさんに先導して貰う形で…その後に私とアツシさんが並び、二列になって進んだ。
入り口から少し進んだ辺りに置いてある、蝋燭に火が灯っている。
先に入っていったという、調査員の神官が灯けたものだろうか。
まだ魔物の気配は殆ど感じないにしても、無事だといいけれど…。
そう思い巡らせながら、慎重に進む。
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岩肌に囲まれた通路を、ゆっくり奥へ進んでいくと……。
先の空間は人為的な石壁に囲まれた通路へと、姿を変えた。
横に数本延びる狭路もあり、一見してみたところからも、複雑そうな造りになっている。
中には、階段まで水に浸っており通れない進路もあった。
ひとまずはーー人の気配を捜して奥へと進んでみる。

…と、先へ進む為の橋が跳ね上がっていた。その横にはレバー。
ーーそして、取っ手は無い。
…ここでも…。肩透かしを喰らったような気分になる。
「通れる路を探しましょう。その先で、取っ手も見つかるかも知れません」
即座に、ハゥルさんの言葉に頷いた。

枝分かれして通路があるものの、水が浸って通れない通路、何かをはめ込む壁、そして奥への進路を塞ぐ跳ね橋…。
人探しはともかく、先へ進むだけでもかなり時間が掛かりそうだった。

「全く。手の込んだ事してくれる…」
ルゥさんが溜息混じりに呟く。
「…さすがその名の通りの遺跡…。ーーそうですか」
私達とは裏腹に、ハゥルさんの表情はどこか知恵比べを愉しんでいるようにも見える。

けれど不安など無く、逆に頼もしかった。
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