表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

鉄柵の扉を慌ただしく抜け、私達は何とか無事にポーンギルドへと駆け込んだ。
背後で惰性で弾かれた扉が、がしゃんと音を立てて閉まった。
ーー良かった、逃げられた…。
私は両手で膝を押さえるように腰を折り、小刻みに深呼吸して息を整えようと努めた。
ずっと走ってきた事で、頭の芯からくらくらする感覚に襲われていた。
「ここまで来れば安心ですね…」
少々呼吸が荒くも、普段と変わらぬ様子でアツシさんが呟いた。

「…おかえりなさいませ」
慌てていて気付かなかったが、扉の側でバーナビーさんが待っていてくれていた。
「大丈夫ですか…?」
ロベルトさんも、部屋の奥からこちらへ来てくれた。
「ただいま…戻りました…」
更に数回深呼吸して、何とか息を整え。辿々しくも、探索の内容を簡潔にまとめながら報告した。

話を聞き終えたバーナビーさんが、表情は変えずに大きく頷いた。
「その様な事が…。分かりました。ご協力、感謝します」

それでは仕事がありますので、と丁寧にもう一度一礼し、バーナビーさんは上の階へと戻っていった。
残されたのは、私達二人とロベルトさんの三人。
バーナビーさんを見送ると、まずロベルトさんが口を開いた。
「…ご無事で何よりです」
目礼の後、彼は続けた。
「この奥での危機、よく乗り越えられましたね。やはり覚者様にはなかなかの素質がお在りなようです」

その言葉に、私は何かが気になり…小首を傾げた。

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