表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

5

私は急いで魔法を自分の杖先にかけ、魔力を光の弾にして放った。
"光弾"はふわふわと漂い、けれども魔物に近付くと勢いを増しながらぶつかって行く。

幾筋もの光の線が見えたと思った瞬間。
まるで断末魔の悲鳴のような叫び声を挙げ、死霊は霧散して消滅した。

人骨の魔物に、死霊の魔物…。
暗闇の中、気を抜けば死に引きずり込まれるような魔物の応酬に、短い時間の出来事ながらかなり気力を消耗した。
魔物が全て居なくなると、ほっと溜息が漏れた。

「やりましたね。お見事でした」
剣を納めながら、アツシさんが私に向かって柔らかな口調で労ってくれた。
ーー早く領都に帰っていれば避けられたかもしれない、余計な戦いを招いてしまった私に…どうして優しい言葉を掛けてくれるのか。
「………」
どう答えていいか分からず、顔が引き吊る。

「…急ぎましょう、また何があるとも分かりません」
特に返答も求められず、彼はまた領都への道を歩き始める。
私もその後に急ぎ続いた。

今日は、思ったより長い一日となった。
…でも…。
星空の下、こうして歩くのも…。
ついそう思ってしまうのは、やっぱり彼の背中から感じる安心感からなのだろうか…。
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