表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

2

それと同時に、アツシさんが実際に声に出して反応した。
「ーーあなたは…いえ、あなた達は、私のマスターを試したのですか?」
ロベルトさんは黙っている。
「ちょっとやり方が手荒では…?」
口数少なくもの静かな、アツシさんが。
むきになっている…?
全く動じないロベルトさんを見据えるアツシさんの眉間に、小さな皺が寄った。
また新たな表情を見せる横顔に、その変化に。すっかり食い入ってしまっていた。

「此処は地形も悪く、凶暴な魔物も潜んでいました。マスターはまだ覚者となられたばかりです。ーーもし万が一何かあったらどうするのです!」
アツシさんの言葉に、びくっとした。
彼が居てくれたから、自分は無事で居られた。…もし一人だったら、確実に道半ばで倒れていただろう。
でもそれより何より、彼の見せた感情に一番驚いていた。
…今、怒った…?
益々"ポーンの民"という種の区切りが、不思議に思えてくる。
ーーー私達人間と、何が違うの?

「ーーこの中から不穏な空気が流れているという事は、すなわち何かただ事ではない兆しが現れている…。それは薄々、感じていました」
それまで黙って聞いていたロベルトさんが、静かに語り始めた。
「けれども、君が従者と知り…私も安心して任せたのです。アツシ君」
その柔らかく語りかける言葉に、何か言おうとしていたアツシさんは少し目を見開いて口を噤んだ。
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