表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

私達は市街区を、まずは人の集まる広場の辺りを歩き回った。

まずは道具屋で薬草や薬の補充、武器屋で武具の手入れを頼んだり…。
旅の準備を整えながら、それとなく竜についての情報を知る人が居ないか、探りを入れてみたりもした。
ーーけれども、なかなかそんな手掛かりは簡単に掴める筈もなく…時間ばかりが過ぎていった。

もう、陽が傾き始めてきた。
朝一番から色々な事が有り過ぎて、さすがに疲れが溜まってきていた。
どうしたものかと足が止まり、つい溜め息を吐いてしまう。
疲れもあり、頭も回らなくなってきていた。
「…少し、休まれますか?」
アツシさんの問いかけに、私は息を小さく吐きながら頷いた。
そういえばここのところ、ゆっくり食事も摂れていない。

そして私達はこの街で一番大きな店ーー酒場の厨房から流れてくる良い香りに誘われるように、軒をくぐった。

そう云えば、カサディスの村を発ってからは……。
携帯したパンや果物など簡単な食料を口に入れていただけで、まともな食事をしていなかった。

差し出されたメニューから、温かいスープや焼きたてのパンとチーズ、オオブドウのジュースなどを二人分頼んだ。
勿論、アツシさんにも付き合って貰って、ゆっくりその風味を楽しんだ。

ーーカサディスのように、新鮮な魚などは無かったけれど。
此処なりの温かみのある食事に、久しぶりに生きた心地がした。
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