表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

マクシミリアンさんは、少し驚いている様子だった。
一介の村娘にしか見えない私のような者が来るとは、思っていなかったのだろう。
どう続けて良いものかと考えているのか…じっと私を見ながら言葉を詰まらせている。

"覚者"らしからぬ姿に、期待外れな気持ちを与えてしまったのではと…。
却って申し訳ない気持ちになる。
そんな気持ちから、つい目を逸らし視線を泳がせてしまう。
それに私自身も緊張で言葉が出ないものだからーー少しの間、沈黙が流れた。

けれどもそこは任務がある上での面談だ。
失礼、とマクシミリアンさんは一言述べ、穏やかながらよく通る声で用件を挙げ始めた。

まず与えられた任務はーー。
竜について調べるうちに発見された、古びた石片に書かれた謎の文字を調べると云うものだった。
差し出されて見せられたそれは、文字が掠れていて判読出来ず、そもそも文字の字体がよくわからない。
私に託そうとして、マクシミリアンさんは「少し重みがありますよ」と気遣ってくれた。
少し気恥ずかしさを感じながらも受け取ろうとすると、アツシさんがさっと歩み寄り、
「では私が」と受け取ってくれた。

マクシミリアンさんは私たちの顔を見据えたまま、
「よろしくお願いします」と軽く腰を折って一礼し、私たちを見送ってくれた。

まずは行く宛てを探す事と、旅の準備をしなければいけない。
私たちはとりあえず、その両方を求めて市街の方へ向かった。
ーー本格的な旅の始まりだ。
今まで以上に気を引き締めていかなければ。
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