表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

目指す坑道は、高く切り立つ岩壁に入り口が据えられ、掘り進まれたような雰囲気があった。
岩肌のひんやりした感覚が、近づくにつれ伝わってくるようだった。

そして、岩壁が太陽を遮り作られた薄暗い陰の中に差し掛かった時。
先を行くアツシさんとイージスさんが、はたと歩みを止めた。
私とルインさんも、それに習って立ち止まる。
先行していた二人の先をよく見てみると…。
岩陰にひとつ、途方に暮れる人影があった。

「…おぉ、旅のお方」
そこにいたのは、大きな荷物を背負った行商人らしき男性だった。
ゆっくり近付いてみると、相手の方から先に声を掛けてきた。
「こんな場所に、お一人で…?」
疑問に思い、訪ねてみる。
彼ーーアロンさんと名乗った行商人は、その訳を話し始めた。
此処を通って南に抜けようとしたものの…。
幾つもの魔物の声が聞こえ、恐ろしさで引き返してきたらしい。

私達も此処を通って南へ行こうとしている。どのみち戦いは避けられない…。
私は仲間の皆の顔を一度見回し、もう一度アロンさんに向き直った。
そして、きっと魔物を倒してきます、と告げた。
「ーーありがとうございます!」
アロンさんはお礼を言いながら、私達に向かって何回もお辞儀した。
私達も通るついでなのに、何だか気恥ずかしい気分だった。
「…では、参りましょう」
まずイージスさんが入り口の扉へ向かう。
私もいそいそと後に続いた。
私達は音を立て軋む木戸を開け、内部へと足を踏み入れた。
c3d6fd8f94fb110254baf48157c8bf5b_l.jpg
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。