表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

2

坑道の内部は、石壁の放つ冷気で少し底冷えする。
そして真っ暗だった。皆で持ち寄ったランタンの灯りで、少し先まではぼんやり明るい。
岩肌には鉱物の輝きがちらほら見受けられ、過去に採掘場として栄えた痕が残っている。
たまにランタンの光を受けてきらりと輝く。
暗く先の見通しが悪い中でも、その光景は星空のように綺麗だとも漠然と思えた。
とても、この先魔物が居るとは思えない静けさが続き…。
暫くの間、私達の靴音だけが響いていた。

幾らか進むと、途中に枝分かれした道も出て来る。
坑道だけに、さすがに中は複雑な造りになっていた。
そして中には閉鎖されている道もあり、踏み台に乗る仕掛けで格子戸が開くようになっていた。
皆で上に乗ると仕掛けが動き、がたんと音を立てて扉が開いた。

ーーそして、その音を引き金にするように。
低い唸り声が、先へと伸びた道の奥から聞こえてきた。
その声には聞き覚えがあった。
忘れもしない、突然襲いかかって来たあの魔物…!
もう一本の道を往けば、魔物との戦いを避けられるかもしれない。
けれど、さっき私はアロンさんと約束した。…此処を安全に通れるようにすると。
息を呑み、僅かに震える掌を、勇気づけるように拳を握ってそろそろと歩を進める。
手は汗ばんでくるのに、頭からは血の気が引いていく。
少しずつ、魔物の息遣いが聞こえ始める。
そして遂に、ぼんやりと暗闇にその姿が浮かび上がった。

ーーやはり、あの時と同じ獣人だった。

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