表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

3

気持ちは戦う方へ向いているつもりだったのに…。
意志とは反対に足が後退する。
つられて思わず、逃げ出したくなる。
ーーギルドの地下迷宮での、恐怖に駆られた思いが甦る。

…嫌だ。やっぱり怖い…。ーーでも…!
困り果てていたアロンさんの姿と、私の考えに頷いてくれた皆の姿が浮かぶ。
……戦わなければ。
気持ちを奮い立たせ、足を踏みとどめた。
その思いに呼応するように。
イージスさんが剣を抜き、ルインさんが片手でそっと私の肩に手を置き、杖を構えた。

「あの魔物…オーガは女性を好んで狙ってきます。私達の編成で、この状況での戦いは不利です。なるべく気付かれない内に仕留めます」
囁くような声でそう告げ、呪文の詠唱を始める。
イージスさんも急には飛び出さない。
盾で身を隠しながら、オーガとルインさんの様子を交互に見ながら機を伺っている。
食事でもしているのか、オーガは一心に何かを掴んで口へ運んでいる。

呪文の詠唱が終わり、ルインさんが手をかざした。
強い光と共に、びりびりと狭い空間ごと痺れるような感覚。
…これは…雷の力?
眩しさに目が眩みながら見渡すと、皆、紫電に輝く魔法の光に包まれていた。

光の帯を引きながら、イージスさんとアツシさんがオーガの左右へと飛び込んでいった。
オーガはすっかり不意を突かれ、地面に倒れ込む。
そこへ、二人の剣士の雷を宿した刃での鋭い連撃が浴びせられる。
好戦的で凶暴な魔物は、一声唸り声を挙げるのみでーーその力を示すことなく果てた。
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