表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

2

ゴブリン達には道々出くわしたものの、その都度の数が少なければ問題ない。
魔物の襲撃を易々とかわしながら、やがて私達は深く長かった森を抜けた。
森が開けて木が視界を塞がなくなった私達の眼前に、高く聳える石造りの塀が見えた。
岩肌に沿って建つそれはどこまでも高く、中の様子は窺えない。
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ーーここが、魔物達との戦場。
私は一度立ち止まって塀を見上げ、その無機質さから逆に高まる緊張に固唾を呑んだ。

砦の外壁からの入り口は、その壁の大きさに反してとても小さい。
魔物の進入を防ぐ為の強度を保つ目的だろう。
隙間なども全く無く、中の空間と外界を完全に遮断しているような空気を感じられた。
ーーこの扉を潜れば、戦場。一度扉の前で立ち止まり、小さく深呼吸する。
そして取っ手に、僅かに震える手を掛けた。
開ける前に、皆の顔を見回してみる。

ーーきっと、大丈夫。
胸の内で自分を励まし、重く厚い扉をゆっくり開いた。

敷地の中へ入ってみると、思ったより広大な空間が拓けていた。
外壁と同じく、高く大きい砦の建物が聳え、入り口へと続く長い階段が据えられている。
巨大さと威圧感に、ただ息を呑むばかりだった。
隣では、イージスさんとルインさんは静かにその瞳に強い光を宿して、アツシさんは厳しい表情で、それぞれその姿を見据えている。
あの中へ入ったら、もう後戻りは出来ない。
…けれど、行くしかない。拳を握り、小さく頷いた。
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