表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

13

ルインさんが、ふんわり柔らかく微笑む。
「ーー是非またいつか…お会いしましょう」
その言葉がとても嬉しくて、暖かな気持ちになる。
この優しい笑顔に、辛いときも挫けそうな時もーー幾度も助けられ支えられた。
私が無事ここまで帰って来られたのも、彼女達の強くも優しい励ましがあったからこそだ。
「ーーありがとう…」
今度は自然な笑顔で、そう伝えた。
たった数日だったけれど、その中でもかなり色々な事を教わったような気がする。
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二人に軽く一礼して、ギルドを離れようとした時。
「ーー今夜も、星が綺麗ですね…」
イージスさんが不意に、夜空を見上げながら呟いた。
前を通り過ぎようとしていたアツシさんが、ぴたりと立ち止まる。
「美しいものを好きではない者は…おりませぬでしょうな」
更に続けるその言葉に、一瞬アツシさんの表情が強張ったように見えた。
「…イージスさん…、あなたは…」
抑えたような、静かな口調で尋ねる彼に。
彼女は紅く美しい瞳からのーー真っ直ぐな視線を流した。

「振り向かず…囚われず…正直に。ーーよく考えられよ、アツシ殿」
その瞳には静かな強さを持つ光を湛えている。
穏やかな、それでいて鋭く射抜くような視線に。ーーアツシさんはともかく、私も目が離せない。
けれどもすぐに表情を緩めて、ギルドの中へと向き直りながら言った。

「…戦いに明け暮れる私とて…たまには星を眺めたくなる時もあります故。ーー失礼」
軽く一礼し、ルインさんと連れ立って去って行く。

ーー私達は暫く、黙ってその背中をただ見送っていた。

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