表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

顔がーー重ねた唇が離れる気配に、ゆっくり目を開いた。

真目の前に在る彼の顔は、ただ優しく私を見詰め微笑んでいて…。
冷んやりした空間に居ながらも、暑くなる程に頬が上気する。
今更ながら……気恥ずかしさで再び彼の胸に顔を埋めた私を、彼の腕が今度は優しく包み込む。
「あなたを……ずっと想っていました。…ずっと…」

ーーああ。やっぱり私の居場所は、此処だ…。
温かい懐と、熱を誘う言葉。
それらの温もりに、ただ身を預けて……。
彼の胸に頬を傾けもたれながら、再び目を閉じた。

「……えー……。コホン。」
背後から、僅かな咳払いが聞こえた。
「ごめんねぇ…。また帰ってからに…して貰えるかな~?」
ルゥさんとハゥルさんが、ゆっくり歩み寄って来ていた。

ーーそうだ、まだ探索の途中なのに…。
「はい…。ごめんなさ…」
ーーえっ…?
反射的に返事と共に謝り掛けて、そこでふと今言われた言葉の意味が思い当たる。
「あ…あの…。私そんな…」
「あはは、いいのいいの ♪ ……良かった」
恥ずかしさから俯き気味になる私に、ルゥさんは明るく優しく微笑んでくれた。

「セッちゃんが可愛いから、しょうがないよねぇ?アツシさん」
「…ええ、つい……。ーーっ?! ルゥさん!」
「あははは!…お幸せに♪」

真顔で質問した後、アツシさんの反射的な返事にニコッと笑うルゥさん。
その遣り取りを横で見ていて……更に恥ずかしくなり、言葉を失う。
けれどもーー何となく楽しさも感じる。
それはきっと……ルゥさんの言葉の中に、優しさがいつも含まれているから。

「…ありがとう…」
そっと、独り言のように呟いた。
「ほんとに…良かったです」
ルゥさんが目を細めている。
ーーかなり小さな声だった筈だけど、ルゥさんはちゃんと聞き取ってくれていた。

ーーあなた方に、永久(とわ)の護りがあらん事を…」
ハゥルさんが穏やかに、そして恭しく胸に手を当てながら述べてくれた。
「ありがとうございます…」
まるで司祭の祝福のような言葉を手向けられ、ちょっと照れながらも…。
自然と、穏やかな気持ちになる。

二人それぞれに向けてくれる、気持ちの暖かさが心地よかった。
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