表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

15

気持ちを新たに、魔物の居なくなった部屋を注意深く調べてみる。
部屋を仕切るように立つ壁の、まるで陰に隠れるようにーーひっそりとひとつの宝箱が眠っていた。
これまで幾度も、魔物や仕掛けに阻まれて来ただけに。
これこそ手掛かりかもしれないと云う、淡い期待が胸に湧く。
やっと、何か竜に関する資料が……?

皆で一度顔を見合わせ、ゆっくりと箱の蓋を開ける。
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「……これは……!?」
ハゥルさんが横手から、食い入るように中を覗き込んだ。

箱の底はーー古めかしく厚みのある石版がひとつ、納められていた。

「…これこそ、この遺跡に眠る竜に関する知識の証では…?保存状態はあまり良くないようですが……」
言葉と共にハゥルさんが石版を抱え上げ、目を凝らし注視する。
字がかすれているようで見えにくいのか……。杖に魔力の光を灯し、まじまじと全体をまんべんなく眺めている。

この、石版という形を取った資料が、竜の許への手掛かりになるかはまだ分からないけれど……。
……でも、これは少しでも竜に近付けているという標(しるし)になるのでは……?

そう考える意識が、一瞬揺らいだ。

よろめき、目の前が暗くーー気が遠くなるような感覚。
後ろへ傾いた体を、アツシさんが受け止め支えてくれた。
ーーやっぱりもう、私の体力は限界に来ている。
少しでも気を緩めたら、直ぐにでも意識が飛びそうだった。

「ーー帰りましょう。…約束です」
彼の声は穏やかで、でも有無を言わせない響きがあった。
ーー今度こそ、私はその言葉に頷くしかなかった。

「そうですね。……もう充分ですよ」
ハゥルさんも石版を示し、そう言ってくれた。
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