表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

そっとアツシさんの手を離し、彼の目を向かい視た。
「私達も……戦いましょう」
ーーただ見ているなんて…出来なかった。
私達とは違い、武器も持たない神官をただ惨殺した魔物を…。
そしてその人を救えなかった私自身、このままではおけない。

「……分かりました」
ただ黙って私の目を見詰め返していたアツシさんが、微かに表情を和らげ頷いた。
私達は互いに目を合わせたまま頷き合い、ルゥさん達の元へ急いだ。
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「下がってなくて…大丈夫?……っと!」
ルゥさんがひっきりなしに弓をつがえ撃ち、ハゥルさんが魔法の詠唱を重ねてゆく。
確かに、彼女達二人だけでも何とか乗り切れそうな状況にも見えた。
それでも、やっぱり……。
はい、と短く返事して、私も杖を取った。

アツシさんは剣を抜きながら、真っ直ぐ魔物を見据え走る。
「おーけー♪じゃあ、ここから援護して貰えますか?」
ルゥさんが、武器を短剣に持ち変えながら、一瞬ちらりとこちらを向いて笑い掛けてくれた。ーーそして駆けて行く。
私もしっかり頷き返した後、魔物を見据えながら杖を構えた。

また声が出るようになった今、ちゃんと”魔法”が使える。
ーー”祈り”は動きが加わる分、魔法より少し、体力の消耗が大きい気がする。
余程でなければ、多用しない方が良いかも知れない……。

あの、一つ目の魔物に有効な魔法は…。
確か、先の戦いでルインさんが教えてくれた。
雷の魔法の詠唱を重ね、腕に狙いを定めながら手を突き伸ばした。
其の、狙いを付けた先に落ちた雷は、魔物の動きをぴたりと止めてくれた。

ごとり、と大きく鈍い音と共にーー大きな棍棒が魔物の腕から抜け落ちた。

ひゅう、と風が鳴ったか…。
それともそれは、ルゥさんの余裕さを表す口笛だったか。
その音が、耳に入った瞬間。
ルゥさんが軽快に蹴り上がり、魔物がよろめいた。
そのすぐ後には、短剣を構えた彼女すくと立っていた。
棒立ちになっていた魔物の目に、一瞬で鋭い一撃を加えていたらしい。
「ーー完璧 ♪ やるじゃん!」
こちらと目が合い、にっと笑う。
「…ルゥさんも」
私も小さく頷き、笑みを返した。

魔物は遂に耐え切れず、膝を付き四つ這いの姿勢になった。
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