表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

3

その背中に向かって、思わず声を掛けそうになった時。
ーー再度爆発がーー火山の噴火が起こった。

「此処は…この国はもう……。どうか、アヤ様……、あなただけでも…!」

「ーーイオリ様……」

一瞬、息が止まりそうになった。
ーー杖を背負った女性の声、それは…。

……わたしと…おなじ……?
ーー呆然とした。
アツシさんと同じ声の男性、そして私と同じ声の女性。
けれどそれぞれ……、私たちとは名前が違う……。

じゃあこの二人は……、まさか……。
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「これはーー私のせいです。竜に殉じる事を拒んだ私の…。ですから私は此処で…」
「ーーいけません!あなたは…此処で失われてはいけないお方です。ーー此の国の者達にとって…そして…」
男性が、女性の身をそっとーー優しく引き寄せた。
「……私にとっても…。あなたは……大切な……」

ーーその刹那、二人の顔が見えた。
「ーー!!」
思わず大きく息を呑み、反射的に口を手で押さえていた。

「ーーああ……。イオリ様、私は……」
ーー女性は泣き笑いのように、儚く微笑みながら……剣士の胸に顔を埋めた。

それを視ている私の体に、何かにふわりと包まれるような感覚が走る。

ーーそうだ、私は…。きっと、あの後……。

僅かに感じたあの感覚は、きっとまた彼が…。
アツシさんが、その手で助けてくれたに違いない。
……そんな私達のように、この二人も……?

そう考えながらも、意識がその場面から急速に離れていく。

ーーやはりこれは…夢だった…?
ただの夢?それとも……?

ーーもう、何も見えなかった。
すぐ眼前に、僅かに現実の光が射し始める。
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