表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

ゆっくりと、微睡むように目が醒めた場所はーー辺りを布地に覆われた空間。
……ここは……?
隙間から吹き込む微風と、少し擦れた手触りの毛布の感覚が、此処は夢の中ではないのだと感じさせる。
そして、背の下には毛皮の敷物。
此処は……。どこかのテントの中…?
身を起こそうとしてみると、背中が強張り少し痛い。
それでも今の状況が気になり、上体をゆっくり起こす。

「ーーお目覚めですか」
出入り口の幕が僅かに開き、外からの光が僅かに射し込んだ。
「……あ……」
「どうぞ…、まだお休みになっていて下さい」
入ってきたのはーーハゥルさんだった。

敷物の上に座ったままの私の高さに合わせて屈み、手に持った小鉢をそっと差し出した。
「ハーブの風味を付けた水です。……お口に入るようでしたら」
確かに、目覚めてみると喉がからからだった。
「…ありがとう」
小鉢を受け取り、ゆっくりと口をつけた。
微かに良い香りがついた水は、喉をするりと通っていく。
その爽やかさに、少し頭が冴える気がした。

「…ここは…?」
張り付くように乾いていた喉が潤い、力があまり入らなくも声を出してみる。
「……此処は、関所の傍らのテントです。一つをお借りして使わせて頂きました」
……じゃあ、あの後此処へ……?
「お加減はいかがですか?……丸二日程、眠っておられましたから…」
思わず、え、と短く声が漏れた。そんなに長い間…。
「…そうですか…。……すみません……」

そして今この状況で、一つ気になる事があった。
「ーーあの……」
ハゥルさんの目を俯き加減の視点から、おずおずと見上げる。
「……はい?」
「えっと…ルゥさんと…」

ーーそう…いつも一緒に居る……居てくれる筈の……。
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