表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

5

今は何を置いても、先ずはマスターを捜すのが先……!
そう瞬時に判断し、どちらへ行くか関所を挟んだ双方の道を伺う。
任務の報告もある事を考えると、領都に戻っているとも考えられる。
……が、しかし…。
まさか、あの峠を一人で……?
「ーーそこの者」
どちらへ向かうべきか足踏みしたところへ、横手から呼び声が掛かった。
「ーーはい。何か…」
「貴殿は、確か……。此処にいた覚者殿の従者では?」

ーー間違いない。
覚者殿とは、我がマスター……セツナ様の事だ…!

「…セツ……、マスターはどちらへ…?!」
逸る気持ちに、思わず詰め寄りそうになりながら。
ぐっと拳を握り、衝動を抑えて慎重に訊ねる。
もし、マスターに何かあったなら……!
早くその姿を……無事で居る姿を確認したかった。

「あれは昨日の陽の昇る前だったか…。ただ礼を告げられて、そちらへ」
指し示された方は、一度は向かおうと考えた峠のーー領都への道ではなかった。
海からの風そよぐ、自然豊かな街道。
確か、私達が初めて旅を始めた"宿営地"へと向かう道……。
そしてその先には、以前マスターから聞いたーー辺境の村がある。
長く育ったと云う、マスターにとって恋しく懐かしい故郷。
この道の先、まず心当たりがあるのはその二箇所。

どちらにせよ、向かうべき方向は決まった。
「ーーありがとうございます…!」
居ても立っても居られない。
短く、けれど深く頭を下げながら礼を述べーー。
すぐさま、目指す方向を振り返り駆け出した。

ーーどうか……!どうか待っていて下さい、今度こそ………!
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