表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

「ーーほら!さっさと行きなさいよ。あんまり、女の子を待たせるもんじゃないわよ?」
ルゥさんが軽い口調と共に、そっと背中を押す。
「ーーええ」
振り向き、軽く頷いた。
「セッちゃんによろしくね♪ ……きっとまた、会いに行くから」

「……はい」
一拍置いて答えを返す。
「ーーもう……泣かせたら許さないからね」
一見、厳しく聞こえる言葉とは裏腹な……明るく優しい微笑み。
ーー彼女の優しさが伝わってくる。
少しの間、ただ黙って頭を下げーー外への方向を振り返った。

ーーマスター。
……いえ、セツナ様……。
散々勝手を働いた私をーー。
願わくばどうか…待っていて下さい…!

ーー私はあなたに…伝えたい事があります。
……出来る事ならば……此れからも私は、あなたと共に……。

ーー此処から、出たら。
自分の言葉で、揺るがぬ意志で……はっきりと伝えたい。
今までも、そしてこれからもーー決して変わらぬ想いがあるのだと。

……身勝手なのは……分かっている。
けれど…今はっきりと思う。

ーーあなたに……逢いたい。
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ーーそして、リムから外界へ。

私が足を踏み出した場所、それはマスターが未だ独り待っている筈の場所。
……そう。
倒れてしまったマスターを運び込んだ、関所のリムの外。
また逢える喜びと、けれどどう話を切り出そうかと少し気まずい緊張を持ち合わせながら。
慎重に、その姿を探す。

ーーが、しかし……。
覚えのあるテントの中にも、そして見渡せる限りの、街道の伸びる景色の中にすら……。
何処にも、私の探し求めるひとの姿は無かった。

……やはり…、遅かった……?
しかし、そう遠くには行かれていないような気もする。
ーーいや、そうであると…祈りたい。

「…セツナ様…!」
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