表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

祠の内部は広く、沢山の蝋燭の光に照らされて明るかった。
ここの主であるらしい老人は、部屋の奥に据えられた石造りの椅子に腰掛け、私達に視線を据えた。
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「今を生きる覚者よ、よくぞ参った。…私も胸に傷を持つ者。ーー竜を識る者」
ゆっくりと、老人が語り始める。
訊きたいことがあれば答えようとの申し出に、私達はマクシミリアンさんから受け取って来た石片を取り出して見せた。
石片に目を移していた老人ーー竜識者は、すぐにまた視線を戻して言った。
「その石片自体に意味は無い。其れを手にして此処へ来た事自体に意味があるのだ」
よく聞けば、竜識者の姿は誰にでも見える訳では無いらしい。
真の覚者と従者ーー竜を真に追い求める者達にしか見えないのだと。

そして竜識者は言った。
竜であろうとも立ち向かう勇気を持った時、人は覚者になれる。己が信じる道を往くが良いーーその言葉が胸に響いた。

此処へ至る迄にも、アツシさんを始め、たくさんの人々に助けて貰って来ている。
一人では魔物と戦う勇気もーー進むことすら、出来なかったかも知れない。
そんな私でもこの先、竜の許へと辿り着けるのだろうか。真の覚者と云えるのだろうか…。
けれど、竜に襲われたカサディスで、皆を助けたいと…それに体の中から沸き上がるような、竜に対する熱い感情は本物だった。

あの気持ちを忘れずに、これからも進んで行けば良いのだろうか…。
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