表記について
・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。
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峠の曲がりくねった道は、明るい時間帯でも先の見通しが悪い。
ばさばさと空を渡る羽音。そして甲高い鳴き声と、美しくも寒気立つ音色の唄声。
…そう、確かこの辺りでは…、ハーピーの群が縄張りを作っている。
留まっていた木の上から、そして曲がり角の先から低空を滑空して、方々の角度から急襲してくる。
けれどさすが、ルゥさんの先の言葉に違わず。
皆の連携で、瞬く間に魔物達は地に墜ちていく。
全く私達の足止めにはならなかった。
戦いの最中、私も魔法を使おうと試みた。
…けれど呪文が紡げないせいか、やっぱりなかなかうまく行かない。
それでも何度か試みてみたけれど……。
もう一度、とやり直すうちに戦闘が終わってしまい、今はもどかしさに歯噛みするしかなかった。
ーー私も、一緒に戦いたいと云う気持ちはあるのに。
ただ皆の無事を祈る事しか出来ない…。
……"祈る"……?
ーーふと、ある考えに至った。
もしまた戦いに加勢する機があれば、試してみるのも良いかも知れない…。
峠で襲い来る危機は、魔物の襲撃だけでない。
切り立った岩壁からはたまに、長い年月のうちに脆くなった岩の一部による落石もあり…。
タイミングの測れない自然の脅威には、到底抗えない。
「ーー危ない!避けて!」
いち早くルゥさんが、軽い身のこなしで跳び退く。
ハゥルさんも、まるで瞬時に計算しているかのように卒なくかわす。
私も慌てて避けようと…したけれど。
足がもつれて、その場を動けず躓いてしまう。
……駄目だ……!、そう思った時。
横から誰かに、ぐいと腕を引かれた。
ーーそして、頭から庇うように腕の中に包み込まれる。
すぐ近くで、岩のはぜる音。
側に切り立つ岩壁に、欠片がパラパラと当たり落ちる。
「…大丈夫ですか?」
アツシさんが……道の脇に引き寄せてくれていた。
離れる気配に顔を上げると、すぐそこに彼の顔が。
ちょっと、どきりとしながらも…。
ーーありがとう…。
そう思いを込めて。
少し恐怖が混じる気持ちが消えないながらもーーせめて表情で伝えたくて微笑みかけた。
「…そこ。いちゃいちゃしない!」
ルゥさんの明るい声が、岩壁に挟まれた道で響く。
「……い……?」
アツシさんが絶句する。
様々な危機の潜む道中にも、ルゥさんの明るい笑い声が先を照らすようだった。
思い掛けない出来事と、ルゥさんの言葉に、照れながら…。
やはり感じてしまう嬉しさに、顔が綻んでしまう。
ーーアツシさんが助けてくれた…それだけで嬉しい。
すぐに助けてくれるという事は……。
また私の事を見てくれている事の表れ……、だと思うのは欲目かな。
ただ見ているだけでいいと、付いていてくれるだけでいいとーー思った筈だけど。
一人で顔を綻ばせているのを、見られるのが恥ずかしくて。
皆の後を、ひとり少し離れて歩いた。
ばさばさと空を渡る羽音。そして甲高い鳴き声と、美しくも寒気立つ音色の唄声。
…そう、確かこの辺りでは…、ハーピーの群が縄張りを作っている。
留まっていた木の上から、そして曲がり角の先から低空を滑空して、方々の角度から急襲してくる。
けれどさすが、ルゥさんの先の言葉に違わず。
皆の連携で、瞬く間に魔物達は地に墜ちていく。
全く私達の足止めにはならなかった。
戦いの最中、私も魔法を使おうと試みた。
…けれど呪文が紡げないせいか、やっぱりなかなかうまく行かない。
それでも何度か試みてみたけれど……。
もう一度、とやり直すうちに戦闘が終わってしまい、今はもどかしさに歯噛みするしかなかった。
ーー私も、一緒に戦いたいと云う気持ちはあるのに。
ただ皆の無事を祈る事しか出来ない…。
……"祈る"……?
ーーふと、ある考えに至った。
もしまた戦いに加勢する機があれば、試してみるのも良いかも知れない…。
峠で襲い来る危機は、魔物の襲撃だけでない。
切り立った岩壁からはたまに、長い年月のうちに脆くなった岩の一部による落石もあり…。
タイミングの測れない自然の脅威には、到底抗えない。
「ーー危ない!避けて!」
いち早くルゥさんが、軽い身のこなしで跳び退く。
ハゥルさんも、まるで瞬時に計算しているかのように卒なくかわす。
私も慌てて避けようと…したけれど。
足がもつれて、その場を動けず躓いてしまう。
……駄目だ……!、そう思った時。
横から誰かに、ぐいと腕を引かれた。
ーーそして、頭から庇うように腕の中に包み込まれる。
すぐ近くで、岩のはぜる音。
側に切り立つ岩壁に、欠片がパラパラと当たり落ちる。
「…大丈夫ですか?」
アツシさんが……道の脇に引き寄せてくれていた。
離れる気配に顔を上げると、すぐそこに彼の顔が。
ちょっと、どきりとしながらも…。
ーーありがとう…。
そう思いを込めて。
少し恐怖が混じる気持ちが消えないながらもーーせめて表情で伝えたくて微笑みかけた。
「…そこ。いちゃいちゃしない!」
ルゥさんの明るい声が、岩壁に挟まれた道で響く。
「……い……?」
アツシさんが絶句する。
様々な危機の潜む道中にも、ルゥさんの明るい笑い声が先を照らすようだった。
思い掛けない出来事と、ルゥさんの言葉に、照れながら…。
やはり感じてしまう嬉しさに、顔が綻んでしまう。
ーーアツシさんが助けてくれた…それだけで嬉しい。
すぐに助けてくれるという事は……。
また私の事を見てくれている事の表れ……、だと思うのは欲目かな。
ただ見ているだけでいいと、付いていてくれるだけでいいとーー思った筈だけど。
一人で顔を綻ばせているのを、見られるのが恥ずかしくて。
皆の後を、ひとり少し離れて歩いた。
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