表記について
・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。
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「覚者様、ひとつよろしいですか」
ハゥルさんが、改まったような表情で私の方へ向き直った。
「此処ではあまり深入りされると…命取りになる可能性があります。ある程度目的を果たされましたら、早々に引き揚げる事もお考え下さい」
穏やかなその瞳には、けれども鋭い光が宿っていた。
彼の提言の理由はよく分からないけれど…。
きっと今まで様々な経験を積み、博い知識も蓄えてきている筈。きっとその言葉に間違いは無い。
誰かが横から、ぽんと肩に手を置いた。振り向くと、ルゥさんが静かに不敵な笑みを浮かべていた。
「大丈夫。私もアツシさんも付いてるから。ただ、無理しちゃ駄目って事だから」
そう言って、今度はアツシさんの方を振り返る。
「ーーね?」
「勿論です」
静かに頷くアツシさんの肩を、ルゥさんは軽くぽんぽんと叩く。
「よっし!大丈夫だよね。…さっさと出ようこんなとこ」
最後は呟くように言い、通路を進んでいく。
今まで通ってきた通路を、少しうろうろしながら伺ってみる。
けれど……進むべき進路は、意外な所に見つかった。
ーー何とレバーのすぐ手前、振り返った位置にあった。
更に向こうまで進んで行こうとしていたルゥさんが駆け戻り、歩調良く階段を降りる。
「ーーなぁ~んだ。で、ここから意外と先へ抜けられたりして?」
「…姉さん。油断は禁物ですよ」
「はいはい、わかってるって」
軽口を並べているようで、目は笑っていない。
ルゥさんの手はいつでも魔物の襲撃に対処できるよう、腰の双剣へと添えられている。
その様子に、余裕すら感じた。
途中、折れ曲がった階段を一歩ずつ降りるにつれ、湿った空気が流れてくる。
降り切った先は、また剥き出しの岩肌の通路。
そして地下水が染み出しているのか、土の床面がぬかるんでいる。
ーー程なく、私達の靴音以外に、ひたひたと何かが歩くような足音が混じり始める。
暗がりの先に、ちらりと見えた姿。
直立し、武器を持つ…鱗に覆われたそれらは。
「リザードマン…!…奴等は水場を好みますからね」
ハゥルさんが杖を構え、魔法の詠唱を始める。
「悪いけど、お邪魔するわよ!」
短剣を抜きながら走る、ルゥさんの言葉を皮切りにーー剣戟の音が響き始める。
ハゥルさんの炎や氷の攻撃魔法と、ルゥさんとアツシさんのそれぞれ軽やかであり力強い剣捌き。
少々足元が悪くも、ものともしない皆の戦いぶりは、とても鮮やかだった。
リザードマン達も槍を構えてはいるものの、身のこなしの速い前衛二人には掠りもしない。
次々に、武器を飛ばされ尻尾を斬られ……のたうっているところへ魔法の炎がその身を灼く。
通路の先の広間には、ろくに攻撃も出来ず倒れた魔物達の哀れな姿が晒されていった。
けれど、皆が武器を納めかけたその時。
部屋の奥の石壁が音を立てて開きーー。
またも、リザードマンの群が姿を現した。
「…何?まだいるの?」
敵の強さ自体は、きっと問題にはならないものの……。
新手が現れた事により、もう一度戦闘のやり直し。
遺跡の調査と云うと、あまり戦闘に縁が無いように感じていた。
けれどやっぱり何処に赴いても、魔物との戦いは避けられないんだ…。
ーーこれも、竜の許に近付くための試練…?
そう思いながら、私も杖を手に取った。
ハゥルさんが、改まったような表情で私の方へ向き直った。
「此処ではあまり深入りされると…命取りになる可能性があります。ある程度目的を果たされましたら、早々に引き揚げる事もお考え下さい」
穏やかなその瞳には、けれども鋭い光が宿っていた。
彼の提言の理由はよく分からないけれど…。
きっと今まで様々な経験を積み、博い知識も蓄えてきている筈。きっとその言葉に間違いは無い。
誰かが横から、ぽんと肩に手を置いた。振り向くと、ルゥさんが静かに不敵な笑みを浮かべていた。
「大丈夫。私もアツシさんも付いてるから。ただ、無理しちゃ駄目って事だから」
そう言って、今度はアツシさんの方を振り返る。
「ーーね?」
「勿論です」
静かに頷くアツシさんの肩を、ルゥさんは軽くぽんぽんと叩く。
「よっし!大丈夫だよね。…さっさと出ようこんなとこ」
最後は呟くように言い、通路を進んでいく。
今まで通ってきた通路を、少しうろうろしながら伺ってみる。
けれど……進むべき進路は、意外な所に見つかった。
ーー何とレバーのすぐ手前、振り返った位置にあった。
更に向こうまで進んで行こうとしていたルゥさんが駆け戻り、歩調良く階段を降りる。
「ーーなぁ~んだ。で、ここから意外と先へ抜けられたりして?」
「…姉さん。油断は禁物ですよ」
「はいはい、わかってるって」
軽口を並べているようで、目は笑っていない。
ルゥさんの手はいつでも魔物の襲撃に対処できるよう、腰の双剣へと添えられている。
その様子に、余裕すら感じた。
途中、折れ曲がった階段を一歩ずつ降りるにつれ、湿った空気が流れてくる。
降り切った先は、また剥き出しの岩肌の通路。
そして地下水が染み出しているのか、土の床面がぬかるんでいる。
ーー程なく、私達の靴音以外に、ひたひたと何かが歩くような足音が混じり始める。
暗がりの先に、ちらりと見えた姿。
直立し、武器を持つ…鱗に覆われたそれらは。
「リザードマン…!…奴等は水場を好みますからね」
ハゥルさんが杖を構え、魔法の詠唱を始める。
「悪いけど、お邪魔するわよ!」
短剣を抜きながら走る、ルゥさんの言葉を皮切りにーー剣戟の音が響き始める。
ハゥルさんの炎や氷の攻撃魔法と、ルゥさんとアツシさんのそれぞれ軽やかであり力強い剣捌き。
少々足元が悪くも、ものともしない皆の戦いぶりは、とても鮮やかだった。
リザードマン達も槍を構えてはいるものの、身のこなしの速い前衛二人には掠りもしない。
次々に、武器を飛ばされ尻尾を斬られ……のたうっているところへ魔法の炎がその身を灼く。
通路の先の広間には、ろくに攻撃も出来ず倒れた魔物達の哀れな姿が晒されていった。
けれど、皆が武器を納めかけたその時。
部屋の奥の石壁が音を立てて開きーー。
またも、リザードマンの群が姿を現した。
「…何?まだいるの?」
敵の強さ自体は、きっと問題にはならないものの……。
新手が現れた事により、もう一度戦闘のやり直し。
遺跡の調査と云うと、あまり戦闘に縁が無いように感じていた。
けれどやっぱり何処に赴いても、魔物との戦いは避けられないんだ…。
ーーこれも、竜の許に近付くための試練…?
そう思いながら、私も杖を手に取った。
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