表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

1

上も下も判らない……。そして暗闇かどうかすらも判らない、不思議な感覚の空間の中。
私は独り、立っている。
……ううん、足元に踏みしめる地の感触も判らない。
立っているのか、もしかしたら地に足付いていないのかすらも……。
しんと静まり返った中、足踏みしてみても足音すら鳴らない。

ーーこれは……。もしかして、夢の中……?
そう思って辺りを見回した時、どこからか物音のようなものが聞こえてきた。
ゆっくりと、進んでみる。
やはり、普段地面を踏みしめ歩く感覚とは違う…。
なかなか前に進めず、波をかき分けるように手も大振りに動かして進む。
ーー何か、うっすら光が見えた。
そう思って目を凝らした私の前に、急速に広大な風景が拡がる。
空と海ーー、そして……。
四方を海に囲まれているこの場所は……、どこかの島?
見たこともない景色にただ気を取られていると、やがて空の彼方に何かの影が見え始めた。
小さな点は、次第に近付き大きくなる。
ーーあれは……!

ーーあの大きな羽…そしてその付け根に延びる大きな躰……。

ーー竜ーー?!
しかも、その体表は燃えるように赤い。

ゆっくりに見えながらもとても速く近づいてくるそれは、ある建物の付近に身を留める。
ーー大きなーー城?
グランシスで見るものとは違う。
けれど……見るからに立派な建物。
風を巻き起こすその羽ばたきは、建物を削るように崩れさせてゆく。
ーー村で見た光景と同じだ。

身震いし、息を呑んだ。
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