表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

「…どうかなさいましたか?」
少し動揺したのが、顔に出たのだろうか。アツシさんが益々私の顔から目を離さずにいる。
更に緊張が高まる自分の気持ちを不思議に思い、もっと視線が下がってしまう。
大丈夫です、とだけ告げ、足早にその場を離れようとした。

そんな私を追い越し、彼はすぐに私の前に回り込み先を行く。
私は胸の奥で騒ぐ気持ちを落ち着かせようと、その背中は見ずに暫く俯いて歩いた。

長い通路を歩くうちに、進路は暗い横道に逸れた。
暗闇に包まれた通路の冷やりとした空気と、あまり先が見えない緊張感が、私の中のもやもやを追い出した。
ーーそうだ、私は覚者で彼は従者。これから、辛く長い旅を乗り越えなければいけない。
今はその事で精一杯な筈だ。
私は気を入れ直し、辺りの様子に目を凝らした。

僅かな後、進行方向からカタカタと渇いた音が聞こえ…私はまたも驚きの光景を目にした。
……人骨が……歩いている!
「ここにも…!」
素早く抜かれたアツシさんの剣が、空間を薙ぐ。
重たくも空気を斬り裂く鋭い音と共に、人骨の一群がバラバラになる。
ーーやった!と思うも、またも次々と地中から沸き出すように現れる。
そして私たちをじりじりと囲みに来る。
私も必死に聖なる魔法で援護を続け、力を合わせてその場を切り抜けた。

やっと通路を抜けた頃には、繰り返される戦闘による疲労が溜まってきていた。
……きっと、もう少し。
あまり進もうとしない足を、私はせめてそう思って励ました。
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