表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

9

そして竜識者は天を仰ぐように石の天井を見上げ、そのまま語った。
「其の者達が竜と戦ったその日、竜の咆哮に応じるように、火山が爆発した。ーー人々は神の怒りだと捉えたのだろう。無理には抗わず、火山の溶岩にほぼ全て飲み込まれたと云う」

しんと静まり返った室内に、竜識者は苦悶を漏らすような息を吐いた。
「その後、国を出た二人がどうなったか…。其れは其の者達にしか判らぬ。ーーこの話の私の識は、あくまで伝えに因るものだ」
その言葉と共に、竜識者は私の目を覗き込むように真っ直ぐ見た。
「其の二人…。或いは、国から逃げ延びた者も居るかも知れぬが…」
私達二人を、視線だけ動かして順に見遣りーーふむ、と小さく唸る。

「其れ等の者達の更なる裔の者が居るとすれば、竜に逢う理由として其れが考えられなくも無い。ーー其方はどうやら、この半島の者とは少し質が違っているように思う。其の縁のある者ではないか」
思いがけない質問に、言葉が詰まる。
私は、物心付く前からカサディスに住んでいた…。元々の自分の出自など、全く判らない。
けれど、確かにあの領都の地下の迷宮で、何故か魔力の気配に誘われるように杖を入手した。
それはこの杖に、そしてその国の人々に縁があっての事なのだろうか。
それに、竜と見えた時の血が滾るような想い…。
素直に肯定する気にはなれないけれど、この杖と竜とを結びつけるものがあるとしたらーーそうなのかも知れない。

複雑な気持ちで、私はただかぶりを振り、わかりませんと答えた。
竜識者はただ、ふっと短く笑った。
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