輪廻の誓い ～NOVEL 1・旅立ちの章～
ドラゴンズドグマ ・ とある世界のものがたり。

ーーモノローグーー

あなたはとても純真で。それでいてとても儚くて。
全身全霊で守りたい。
…傷付けないように、失くしてしまわないように。

ーーこうして今、何にも縛られず安らかに眠るその表情は、濁りも無く清らかでーー。

…気付けば、そっと……重ねていた。
まるで、蝶が甘い蜜を湛える花に誘われるように。

多くは望まない。せめて今、ほんの一瞬だけ…。
そう思ってしまった私の、愚行をどうかお許し下さい。

また陽が昇る頃、参ります。
ーーどうか、それまで良い夢を。せめてその中では、明るく微笑んでいて下さい。

「…お休みなさいませ、マスター…」

ーーただ付き従わねばならない筈の私は…何と勝手なのだろうか。


そうして、ひとつの影が苦笑を浮かべ去ったドア越しに。
規則正しい寝息の合間に、その者の名を呟く声がーー誰も気づかぬまま夜の帳の闇に溶け消えた。