表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

西へ西へと進みながらも、川は北へも掛かって流れている。
森林は昨日と同じ針葉樹林へと姿を変え、木々に覆われ陰になった道は少し冷やりとする。
魔物の姿は全く無く、ただ歩けば良かった為かーー思ったより早く目的の場所に着きそうだった。
針葉樹が茂り始める辺りの川辺、そこが店主に教えられた目的地だった。

カサディスには川が無く、川を目的地として赴くのはこれが初めてだった。
これまでも任務をこなしに、橋を渡って目的地へ行くことはあったけれど。
川自体をゆっくり眺めるのは初めてだ。
ーー興味が段々膨らみ、歩調が早くなる。

川に沿って立つ木々の間に拓けた、ゆるやかな坂を下りる。
そこには大きな川が広がり、とても透明度の高い綺麗な水を湛えていた。
見慣れた海辺とはまた違う景色に、とても新鮮味を感じた。

ここまでずっと歩いて来たので休憩も兼ねて、まず私達は岩場でお弁当を広げた。
陽光をなだらかな水面に受けて輝く川の、水の奏でるせせらぎを感じながら食べる食事は……いくらでも食べられそうなほどに美味しかった。

具だくさんの大きなサンドウィッチにかぶりついたところへ。ふと、アツシさんの視線を感じ、少し上目に見上げる。
彼の頬が、ふっと緩んだ気がした。
けれどすぐ目を逸らされて、あやふやになる。
…私、そんなに可笑しな顔をしてたかな…。
ちょっと恥ずかしくなり、目を伏せ少し背を向け気味に座り直した。

彼からしたら、私はーー子供の面倒でも見ているようなものなんじゃないかな…。
ついそんな、ひがみのような気持ちが湧いてしまうのは…今日がとても穏やかな日だからだろうか。
ともすれば目的を忘れそうな程、ここにはゆったりした時間が流れている。

ーー今日は落とし物を探しに来ているんだ。
お弁当をすっかり食べ終え、一息付いてから。
私達はとりあえず靴だけ脱いでゆっくりと川の水に足を浸けた。
少し冷たくも、素足に伝わる感触が気持ちいい。
ただ、歩いてみると、川の水は海水より重くまとわりつく。
なるべくそろそろと足を進めながら、川底を注意深く見て回った。
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