表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

「こないだ、川で財布を落としてね。…もう諦めようかと思ったけど、結構気に入ってたやつなんだよ」
言いながら肩を竦め、両手を肩幅に広げる。
「良ければ捜して来て貰えないかい?礼ははずむよ」
笑顔のまま覗き込まれ、どう返事をしようかと思ったところ…。
「ーーあと良かったら、特製の弁当も。今日は天気が良いから、気分転換にも良いかもな」
返事をする余地も無く、そう追ってくる。
そして腕組みし、一度軽く空を見上げ、答えを促すようにまた顔を覗き込んでくる。
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巧く言われている気もするけれど、たまにはそういう外出も良いかも知れない。
アツシさんに目で確認する。
ーー何も言わない。異論は無いということだ。
アースミスさんに視線を戻し、笑顔を作りながら肯いた。
ちょっと待ってな、と店主が調理場へ急いだ。
厨房の料理人と二人で、急いで外出用のお弁当を見繕ってくれている。
その間、食べ掛けの朝食を余さず味わった私達は…。
その後戻ってきた店主から、包みを貰って出発した。


此の街で今日を一日のんびり過ごすのも、良いと思っていたけれど。
お弁当を携えて出掛けるとなると、行楽気分になってきて…それはそれでわくわくする。
…アツシさんと二人、青空の下…。
そう考えると、何故か頬が綻んでしまう。
これはアースミスさんの依頼…お遣いなんだから。自分にそう言い聞かせる。

外へと続く通りへの曲がり角から、店の入り口で見送ってくれている店主を振り返り。
行ってきます、と手を振った。
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