表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

目が回り、力が入らない。
その場に崩れるように座り込み、地面に両手をついた。
更にその後から、怖さと水を飲んだ喉のつかえが襲う。体が酸素を補給しようと咳込み、息を荒くする。
やや治まるのを待って、立ち上がろうと顔を上げると。
ーーアツシさんの顔が直ぐ目の前、私の顔をじっと覗き込んでいた。
不安そうな陰りを浮かべる表情に、心がちくりと痛んだ。

本当に私は。何をしても、助けられっ放しだ…。
涙がこみ上げ、目を合わせて居られず俯いた。
「ーーごめんなさい…ごめん…なさ…」
まるでうわ言のように繰り返してしまう。涙が溢れて止まらない。

顔を両手で覆おうとした時、何か暖かい感触がふわりと体を包み込んだ。
「ーーご無事で、良かったです…!」
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彼の腕に包まれていた。
驚きで一瞬息が詰まり、目を見開いた。
肩口で、彼が長く息を吐くのが分かる。
ーー心配させてしまった。
それでもこうして包み込んでくれる彼の、心地良い温かさに。
徐々に強張った気持ちが緩み、落ち着いてゆく。

もう少し…ほんの少しの間だけでいい。このままで居たい。
そう思ってしまうのは……只の"子供"の我儘?
それでもいい。
だからこそーーあなたの優しさに甘えていて、いいですか?


きっと僅かな時間。
それでも、私にはとても居心地よく、緩やかに感じられた。
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